観光地でもある大都会クアラルンプールですが、ガイドブックにも載っていないローカル色あふれる地域を訪れてみます。今回はMRTプトラジャヤ線のカンポン・バトゥ駅(Kampung Batu)の周辺。KTMのカンポン・バトゥ駅も隣にあります。
マレーシア3大民族のマレー系、華人系(中国系)、インド系がみんな住んでいる地域ですが、駅周辺や幹線道路沿いは華人系が多く、中華の屋台・フードコートが並びます。
※ あまり観光にも買い物にもグルメにも役立ちません(笑)。KLにこんな場所があるんだな、というだけのお話です。
カンポン・バトゥの行き方は
一番簡単に行ける公共交通機関はMRTプトラジャヤ線です。KTM(マレーシア国鉄)の駅も隣ですが、運行本数が少ないので使いにくいのです。
チョーキット・モノレール駅から出るGOKL08番のマローン線でも行けますが、大回りして行くので時間がかかります。

北に約10Km。
ここから少し北上すると
ヒンドゥー教聖地バトゥ・ケーブです。


最近バスを使うことを覚えました。マスジッド・ジャメに近い Lebuh Ampang から出る173番バスで行ってみます。渋滞が無ければ20~30分程度。このバスはバトゥ・ケーブの入り口(バス停は Nissan)にも行きます。


南方面を散策しました

バス停はMRT/KTM線路の東側にあり、街の繁華街は西側にあります。線路を越える高架通路はMRT側(北側・華人学校向かい)とKTM側(南側・改札前)の2ヶ所。
高架を越えるとJalan Kampung Batu で、これを南下すると幹線道路 Jalan Sultan Azlan Shahに突き当たります。


KTM側高架を渡ると左手に「火车站茶餐庁」なる漢字看板発見。火车站は中国語で鉄道駅、茶餐庁はフードコートを意味します。6~7軒ほどの屋台がある小ぶりなフードコートですが、地元の華人が集まってのんびりしていました。火车站の「车」は「車」の簡体字です。
※ 漢字は中国本土で使われる簡体字、台湾などで使われる繁体字に分かれます。日本のは両者の中間みたいな感じですね。例:「広」は簡体字だと「广」、繁体字だと「廣」になります。
マレーシア華人社会では全部ではないかもしれませんが簡体字を時々見ます。


マレーシア3大民族はそれぞれ分かれて住む傾向がありますが、ここは比較的ミックスされている感じ。でも大通りの店・屋台は華人系が多いです。
新聞は漢字、マレー語、タミル語(インド系)と英字の4種類が売られているのが多民族社会マレーシアを象徴します。
一番汎用性が高いのが英語で、ファストフード店の呼び出しなども英語アナウンスが普通。



左手は屋台街だがメインは夜みたい
幹線道路 Jalan Sultan Azlan Shah に沿った外側に屋台・商店街があり、ここがカンポン・バトゥの繁華街。屋台・商店の多くは華人系の店です。


ここでお昼ご飯にします。ペナン・アッサム・ラクサは甘酸っぱい不思議な風味の麺。
広府炒は広・細二種類の麺を使った広東風のあんかけ炒め麺でなかなかの味。




珍しい団茶がありました。その昔に茶葉を長距離輸送するため固めて円盤状にした物。使う時は削って煮だして飲みます。

今年1月に3週間ほどタイに行きました。タイのお菓子を食べまくりましたが、カオテーンというタイの揚げ煎餅がお気に入り。
クアラルンプールでも売っていないかと探していたが、ここの華人系パン屋で発見。タイ産のそれは「焦げライス・クラッカー」なる名称でしたが、原料をみるとカオテーンそのもので即買い。美味しかったがタイで買う時の倍の価格です。
タイのお菓子はマレーシアと同じ物も多いのです、詳しくはこちら
世界のB級グルメ/24 お菓子 in タイ(上) 焼き・揚げ・蒸し菓子編 に移動します


華人はマレーシア人口の約23%を占めますが、中国系といってもいろいろあり、使用言語も違ったりします。クアラルンプールだと多いのが広東語、福建語、北京語(マンダリン、中国標準語)など。客家は華北から南に移住した漢人の一派で客家語を使う人達。孫文、鄧小平、李登輝など近代史の有名人を輩出しており、KLにも多いそうです。客家料理店も多い。


幹線道路沿いの西端にちいさな商業施設 Sungai Mas Plaza がありました。


スーパーは HERO が入っています。KL の郊外にしかありませんが、価格は低め。高級志向のVillage Grocer 、 The Food Merchant、Cold Storage などに比べるとリーズナブル。
上記の高級志向店では異常に高い豚肉も、ローカル市場に近い値段設定です。


長いも発見、名前も NAGAIMO でキロ単価10.29リンギッ(¥330くらい)。以前伊勢丹スーパーでも見つけましたがキロ単価46リンギッと4倍以上で買えませんでした。
即買いしてとろろそばにしました。
北側の華人居住区です


カンポン・バトゥ中心部でも赤・青・黄のカラーリングがされたマンション群は周囲の店の客層から見るとマレー系の居住区みたい。その隣に広がる戸建て住宅は「赤い提灯」が飾られていて華人系居住地ですね。
宗教・食の禁忌の関係で両者が混じって住むのは難しそうです。マレー系(ほとんどイスラム教徒)の家の隣で、華人が豚肉調理していたら絶対イヤだよね。


仏具店の人が「変わった生き物」が来た、と思ったのか招き入れられます。この辺の華人は広東語が多い、など地域情報を教えてもらいました。
「マレーシアのどの料理が好き?」と聞かれたので「マレー料理」と答えると「え~」という顔をされました。華人はマレー料理を食べても禁忌は無いはずなのに中華料理ばかり食べていますね。マレー料理店で華人を見ることはほとんどありません。逆はもっとありませんけど。
時々中華料理店でインド人を見ますが、ほぼ間違いなくキリスト教徒のはず。ヒンドゥー教徒はヴェジタリアンが多いですし、豚肉も嫌いますので。

仏具店とは言っても商品の多くは道教関連品でした。中国の民族宗教で「先祖崇拝」を重視します。
住宅の紙模型が売られていますが、これを供養することで、ご先祖様があの世で生活する援助をするのです。そしてご先祖様は子孫をお守りくださいます。
道教では人が神格化することもあり、『三国志』の武将・関羽も神として祀られ関帝と呼ばれます。

これを回すと経典を読んだと
同じ功徳があります。

手には青龍偃月刀を持つ
仏教の守護神でもあります。





車掌が運賃を集めます
壁にBAS MINI の絵がありました。トラタロウがKLを訪れた1993年当時はLRTなどの市内鉄道は一切無く、この小型バスが唯一の公共交通手段。なんでミニバスじゃないんだ?と思っていましたが、マレー語は修飾される言葉が前に来ます。



北側にもフードコートが2つありました。





なかなか屋台が多くて味も良いのでまた行きたくなります。物価もKL中心部に比べると少し安い。中国情緒があって探索しがいのある街でした。
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