観光地でもある大都会クアラルンプールですが、ガイドブックにも載っていないローカル色あふれる地域を訪れてみます。今回はLRTアンパン線の終着駅であるアンパン駅の西側。
アンパン(Ampang)というと日本人には変な語感ですが、クラン川の上流にあり錫鉱の発見で開発が始まったクアラルンプールでも歴史のある地域です。厳密には連邦直轄領であるクアラルンプール市ではなく、隣のスランゴール州になりますが実質はKL市内と同じですね。
※ あまり観光にも買い物にもグルメにも役立ちません(笑)。KLにこんな場所があるんだな、というだけのお話です。
アンパンにはどうやって行くのかな
公共交通機関で行くなら LRTアンパン線 が便利。1996に開通したKL最初の市内鉄道で、最新の鉄道に比べるとちょっと古風な感じですがそれが良いのです。

トラタロウはマスジット・ジャメ駅から乗りましたが所要30分、運賃¥100程度(現金と交通カードで料金が違います)終着駅下車。
※ 始発駅セントゥル・テムールからチャンソウリン駅までLRTスリ・プタリン線と線路・駅が共用です。アンパン行きの表示がある列車に乗りましょう。
※ マスジット・ジャメに近いLebuh Ampangから300番バスでも同じような所要時間、料金で行けますが渋滞の可能性もあります。トラタロウは夕刻 and スコールの時にバスで行ったら2時間かかりました。


アンパン駅の東側は福建系の華人(中国系)の居住区で、道教のお祭りが盛大に行われます。
2024 KL最大級の中華屋台が出る九皇爺南天宮の祭りに行ってみた に移動します
今回は反対の西側を探索してみました。

アンパン駅を出て大通りを左(東)に進むとちょっと古びた商店街。ホテルなんかもあるので昔は今よりも栄えていたのかな。商店街を左折すると戸建ての住宅街で華人が住んでいる感じ。


前方右手に HERO というスーパー。そこそこに店舗数はあるローカルスーパーですが KL でも郊外にしか店はないようです。ここの客層はマレー系・華人系が半々ぐらい。

スーパーの横に威圧感のある大きな建物。この辺りで唯一最大の Galaxy Ampang というモールです。KLでモールというと明るい近代的なビルのイメージですが、ここはなんだか違うぞ。

北側の入り口から入ると韓国食品店がありました。だけどモールに入っているようなオシャレ感はゼロ。よく言えば陽気、悪く言うとケバイ、泥臭い感じの店舗。品ぞろえは豊富です。


さらにモールの奥に進むとすごい違和感。薄暗い通路の両側に並ぶのはピンクを主体とした色と照明の店舗群。なんだか場末の飲み屋街みたいだが、イスラム教国であるマレーシアにはそんな場所は少ないはず(飲み屋街はありますが、KLのそれはもっとオシャレです)。第一まだその手の店は閉まっている午前中だ。

南北2本のメイン通路に並ぶのはヘアサロン、ネイルサロン、フットマッサージなど女性美容関係の店でした。ピンクが多いのは「女性が好む色」ということなのね。
安売り服飾コーナーがある他は、40以上もあろうかという店はみんな女性美容関係。まだ平日の午前で客よりも店員が多い感じでしたが。華人が多いようですが韓国人もいるのかな?
モールは2003年ごろできたようですが経営に失敗した模様。つぶれてはいませんが、なぜかこんな店舗が集まる場所になったようです。


モール前の大通り Jalan Ampang Putra を西に進みます。周辺は一戸建ての多い住宅地。大通り沿いに商店街もあります。商店街の感じだとマレー系住民が多い感じでした。

マレーシアの三大民族(マレー系、華人系、インド系)は文化・宗教・食生活の面で相いれない部分もあるので、あまり混じって住みません。例えば豚肉を嫌うイスラム教徒が多いマレー系と豚肉を好む華人系が一緒に住むのは難しいのです。
アンパンも東側は華人が多いのですが、西側のこの辺りはほとんどいない感じ。商店街に漢字を表記した華人の店や飲食店が無く、マレー系の飲食店が多いことから推測できます。


イスラム教は犬を不浄とするためマレー系住民が多い地域で犬を見ることはまれです。猫は大好きなので沢山見ます。


KL市内のモスク(マスジット)は伝統的な様式もありますが、けっこう枠にとらわれない形の物も見うけられます。大通り沿いにある Masjid Al-Mustaqim Taman Nirwana は斬新なデザイン。特にミナレット(塔)がカッコイイな。


小さなアラブ人街がありました
アンパン地区の西側はアラブ系の住民が多いようで、アラビックなスーパーや飲食店が目立ちます。


クアラルンプールの店や住宅でパレスチナ国旗が飾られることがあり、これはパレスチナやガザ地区への支持を表わしています。
KLではパレスチナ支持グッズがよく売られています。

商品もアラビックです。羊肉はマレーシアでも人気がありますが、羊の頭はほとんど見ません。昔シリアに行った時にこれを煮た物を食べましたが見た目より美味しかった。


アラブ人がこだわるのがデーツ(乾燥なつめやし)。日本人が食べると多少の糖度・軟硬の区別はつきますが、大きな違いは分かりません。この店は20種類以上のデーツがありました。
日本で言えば漬物の種類みたいなものかな?


周辺にはアラビック料理の店が何軒かあります。小腹がすいたのでシャワルマを食べてみよう。
トルコだとドネルケバブ(回転焼肉の意)という肉料理。心棒を軸にに肉・脂身などを積み重ね回転させながら焼き、外側から削った物をサンドイッチやラップの具にします。最近は日本でも目にしますね。


アラビック雑貨店でターキッシュデライトを買いました。トルコではロクムと呼ばれる伝統菓子でデンプンを主原料にしているため、もちっとした日本人好みの食感です。英ファンタジー『ナルニア物語』にも登場します。





この先がスランゴール州とクアラルンプール市の境になります。


モスクの先には湖と公園がありました。
アンパンヒラー湖公園(Taman Tasik Ampang Hilir)です。Tamanは公園、Tasikは「タシッ」と読み湖の意。マレー語は語尾がKだと「小さいッ」のような発音になります。 夜市で見る魚すり身揚げクロポッ(Keropok)が良い例ですね。

マレーシアは石灰岩質の場所が多いせいか、クアラルンプール市内には湖が沢山あります。
地下も浸食で穴ができている場所もあり、こんな事件もありました。
クアラルンプール道路陥没事故現場に出くわしてみた に移動します



ダブルデッカーです
湖沿いに北上すると大通りの Jalan Ampang に出ます。帰りはここから300番バスでマスジット・ジャメに戻りました。
異国であるマレーシアの中で、さらに異国を感じることができた探訪でした。
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