マレーシアの人口の約7%を占めるのがインド人。特に首都クアラルンプールはその比率が高く、インド人街が多くて、ヒンドゥー教の寺院もいたるところにあります。ヒンドゥー教の主なお祭りのひとつタイプーサム(Thaipusam)に行ってみました。
タイプーサムとはどんなお祭り?
2023年のマレーシア祝祭日をチェックしていたら、2/5(日)がタイプーサムでお休みになっていました。トラタロウは地理・歴史の教員だったのでヒンドゥー教についても教えていましたが、お祭りはそんなに詳しくありません。
調べてみたら、海外を紹介するようなバラエティーやクイズ番組でよく紹介されるあのお祭りだったんですね。これはぜひとも見に行かねば。
![ヒンドゥー教寺院の神像](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/FXCD0028.jpg)
![マドゥライ](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/FXCD0105.jpg)
左上にガネーシャ像があります
「ヒンドゥー教はインドの民族宗教・多神教で、インド人の歴史、思想、生活等に多大な影響を与えている」。辞書風に言えばこんな感じですが、とにかく多くの神様がいる宗教で、寺院にはこれでもか、というほど神像が飾られています。
![シヴァ神](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/54fd19ec204f4c1f7a53fe45bac2403a.jpg)
地域や個人によってご本尊とする神は違いますが、人気が高いのは主神の一柱であるシヴァ神、その妃のパールヴァティ神、両神の息子にして象の頭を持つガネーシャ神といったシヴァファミリーです。でも別の息子がいるとは知らなかった。
![ムルガン神像](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3018-665x1024.jpg)
神話によるとアスラ(悪神)との戦いで神々が劣勢になるが、パールヴァティ神が息子のムルガン神に槍を授け、これにより悪神を打ち破ることができたとか。この神話からムルガン神をたたえ、神々に感謝をささげる祭りが始まり、これがタイプーサム(Thaipusam)となります。
Thai はヒンドゥー暦の10番目の月で、この月の満月に祭りが行われます。太陰太陽暦(月の運行を基準とする暦法)なので、現在世界の標準として使われるグレゴリウス暦(太陽暦)にあてはめると、毎年祝祭日が変わります。
pusamは南インドで主に使われるタミル語で星を意味するとか。
ヒンドゥー教の神々の化身が多すぎる
ムルガン神はカールッティケーヤ神、クマーラ神、軍神スカンダと様々な名で呼ばれますが、ヒンドゥー教の神々は別名が多いのです。理由のひとつは神々が様々な化身(別の姿で現れること、英語だとAvatar ほら映画のあれですよ)を持つこと。
姿が変わると性格まで変わったりします。シヴァ神の妃パールヴァティ神は慈母のように描かれますが、その化身カーリー神は悪鬼のような姿となり旦那を踏みつけます。そんなカーリー神ですが人気は高く、その寺院カーリーガートがコルカタ(カルカッタ)の語源とも言われています。
やがてヒンドゥー教の神々のかなりが仏教の守護神として取り込まれ、ムルガン神は韋駄天(足の速い神様です)となり、兄弟神のガネーシャ神も歓喜天(やはり頭は象です)となります。
逆に仏陀はヴィシュヌ神の化身のひとつとされます。ヒンドゥー教寺院に仏像が祀られていることがありますが、不思議なことではありません。
![スリ・マハ・アリアマン](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_0215.jpg)
![寺院の門](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_0216.jpg)
マレーシアの各地にあるムルガン神を祀る寺院でお祭りが行われます。ここクアラルンプールでは、チャイナタウンのそばにあるスリ・マハ・マリアマン寺院(Sri Maha Mariamman)から山車(だし)に載せられたご神体が北に位置する聖地・バトゥ・ケーヴス(Batu Caves)に向かいます。そして聖地にある寺院スリ・スブラマニアム・スワミ(Sri Subramaniam Swamy)に大勢の参拝者がおしかけるのです。
![カバディ](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3144.jpg)
カバディ(Kavadi)と呼ばれる孔雀の羽根で飾られた一種の神輿を担いで参拝する信者も多く、タイプーサムの風物詩です。
ここまでは普通のお祭りですが、参拝者の中に自らの身体に針を刺したり、鉄針を頬や舌に貫通させる苦行を行う者がいるため奇祭と呼ばれます。本国インドではこれがいきすぎたのか禁じられた祭となり、現在タイプーサムを行うのはマレーシアとシンガポールだけだとか。
苦行者の画像をあげますが、苦手な方は閲覧注意願います。
![ライム針](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3143.jpg)
重しにして体にかけています
![頬に鉄棒](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3168-1024x763.jpg)
中央の人は剃髪
家の前を参拝行列が通過しました
今年のタイプーサムは2/5(日)。おそらく前日の夜にご神体をのせた山車がスリ・マハ・マリアマン寺院を出るのであろう。そして山車と参拝者の行列がバトゥ・ケーヴスに向かうルートを調べると、なんと自宅のマンションの前の道も通るではありませんか。これは楽しみと2/3(金)に思ってました。
何だか準備をしています
![テント張ります](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2862.jpg)
自宅マンションの横にもヒンドゥー教寺院があるのですが、2/3の夕刻外に出るとテントが張られ、何やら準備中です。祭りは明後日なのに気が早いことよ、前夜祭でもするのか?
![セッティング](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2865.jpg)
![お弁当作り](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2878.jpg)
夜に部屋でウトウトしていると、10時も過ぎたころ外からの大音響で目覚めます。外を見てみると大通りが封鎖され大勢の人が歩いているではないですか。
![人の波](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2935.jpg)
ご神体のバトゥ・ケーヴスへの移動は祭りの前日かと思っていたら2日前に行うようです。先頭を行く山車は見逃してしまいました。
![ご神体の山車](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3332-1024x683.jpg)
![参拝者](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2936.jpg)
バトゥ・ケーヴスへのお参り行列でした
スリ・マハ・マリアマン寺院を出たご神体をのせた山車(だし)は十数km離れたバトゥ・ケーヴスに向かいます。そして参拝者がその後に続くのです。
![大勢のインド人](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2892-1024x576.jpg)
クアラルンプールにこんなにインド人がいたのかよ、と言いたくなるぐらいインド人だらけ。インド系マレーシア人だけでなく、本国からも含めて各国のインド人が集まるとか。
![ミルク壺](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2888.jpg)
![黄色の服](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2886.jpg)
![お参りファッション](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2908.jpg)
![家族でsannka](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2899.jpg)
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![奉仕で無料](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2911.jpg)
お弁当や飲み物を無料配布
沿道のパフォーマンス大会です
自宅マンション隣の寺院は参拝路の拠点のひとつなのか、各種パフォーマンスが披露されています。神道と同じく神々へ芸能を捧げる習慣があるのかな。
![ライオンダンス](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2890-1.jpg)
披露される芸能の中にライオンダンスまであった。春節で披露される中華系の芸能だが、あまり宗教色は無いのでヒンドゥー教の神々に捧げてもOKなのだろう。ちなみにインド人のライオンダンサーもいます。
![爆竹](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2895.jpg)
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![怪しく光る](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2897.jpg)
いや、光るんだあれ
![夫婦漫才](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2905.jpg)
![生バンド](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2907.jpg)
※ 短いですが動画をお楽しみください。音量注意!
![ソロダンス](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2903.jpg)
![頭飾り](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2901.jpg)
![神々への賛歌](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2913.jpg)
※ 短いですが動画をお楽しみください。音量注意!
隣の寺院にも入ってみました
自宅マンション隣のヒンドゥー教寺院はスリ・パトラ・カリアマン寺院といいます。入ってみたかったけれど朝晩敬虔な信者がお参りしているので、異教徒としては入りづらい。今日はお祭りのドサクサに紛れて入ってみました。
![ご本尊](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2923-655x1024.jpg)
![参拝](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2922.jpg)
![妙齢の女性](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2926.jpg)
奥に安置される神像は黒色です。寺院の名前と神像の特徴からするとカーリー神を祀る寺院のようです。
![ガネーシャ神](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2879.jpg)
![花火](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2898.jpg)
もうお祭り騒ぎ、あっ、お祭りでした
![2つのタワー](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2916.jpg)
![お弁当](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2939.jpg)
バトゥー・ケーヴスへ行ってみた
2/4(土)バトゥ・ケーヴスに行きます。タイプーサムは2/5ですが、昨晩あんなに参拝行列で盛り上がっていたので、バトゥ・ケーヴスでもお祭り騒ぎかな?
※ ガイドブックその他の日本語表記はバトゥ・ケーブが多いですが、現地の英語表記は
Batu Caves なのでバトゥ・ケーヴスと記述します。
お祭りはマレー鉄道(KTM)で
バトゥ・ケーヴスへはKTM(マレー鉄道)のコミューター(近郊便)で行くと便利。とゆうか、お祭り期間中バトゥ・ケーヴス付近は交通規制があるので車・バスでは行きにくいでしょう。
KTMはマレー鉄道の略語ですが、マレー語の表現の略。NHKみたいなものです。
![バンクネガラ](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2944-1024x767.jpg)
![KTM](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2947.jpg)
運行するようです
途中で路線が分岐するのでBatuCaves行きに乗らないといけません。
![駅図](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2945.jpg)
![列車](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2949.jpg)
![バトゥ・ケーヴス図](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2951.jpg)
駅をでて右手に行けばすぐ参道になります
![像の後ろ姿](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2952.jpg)
![ハヌマーン](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2954.jpg)
猿神ハヌマーンです。ヒンドゥー教の聖典でもある叙事詩『ラーマーヤナ』で主人公ラーマ王子を助けて大活躍。とても人気のある神様で絵などでは割とカワイイ描き方をされますが、これは凛々しいバージョンでした。
![物売り](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2956.jpg)
![寺院](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2959.jpg)
![花屋](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2962.jpg)
![階段](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2963.jpg)
洞窟には長い階段を登って行く
洞窟寺院へ参拝しました
![ムルガン神像](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2965.jpg)
KTMに乗った時から、参道を歩いている時から感じていたのだが人が少ない?いや、普段よりは多いとは思うのだが、タイプーサムにしては少ないのでは? その疑問は洞窟に登る階段の前で確信に変わります。
タイプーサムについて調べた時の画像では、この階段は参拝者で埋め尽くされていたが、今日はスキスキですね。やはりお祭りは2/5だけなのね。おかげで参拝は楽ですが。
![階段門](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2966.jpg)
272段の階段を登ります。前回来たのは10年ほど前で、その時はまだ階段の虹色塗装は無かったと記憶しています。虹色塗装は賛否両論、インスタ映えは良いですね。
![272段](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2968.jpg)
![カバディ](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2972.jpg)
![ムルガン神像2](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2975.jpg)
![120m](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2978.jpg)
![眺め](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2979.jpg)
![KL見る](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2980.jpg)
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![神像](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2982.jpg)
![寺院2](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2983.jpg)
バトゥ・ケーヴスの石灰岩の山は4億年前にでき、長い年月の浸食で鍾乳洞となります。1891年に神像が置かれてスリ・スブラマニアム・スワミ寺院(Sri Subramaniam Swamy)が建立されます。
![本殿](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2987.jpg)
異教徒は遠慮しておきます
![孔雀](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2988.jpg)
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![お供え](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2994.jpg)
![最奥](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2989.jpg)
![小神殿](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2995.jpg)
![天井](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2996-1024x767.jpg)
![猿1](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_2998.jpg)
![猿2](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3001.jpg)
![簡易版](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3005.jpg)
![寺院3](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3003.jpg)
![寺院4](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3004.jpg)
![修行者](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3008.jpg)
![ゲート](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3027.jpg)
![苦行1](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3024.jpg)
タイプーサムの熱狂を求めて来たらはずしました。普段より参拝者はかなり多いが普通の状態ですね。カバディ(神輿)を担ぐ人は数えるほど、苦行者もいませんでした。第1ゲートで苦行のデモンストレーションみたいな事をやっていただけ。やはり本祭は2/5のようですので、明日また来ます。
![苦行2](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/IMG_3026.jpg)
おまけ、昔のバトゥ・ケーヴスです。30年前ですね。
![古写真1](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/81dbc2283c9948fc8bd7c5790882ca25-731x1024.png)
1993年に初めてバトゥ・ケーヴスに行った時の写真です。階段や周辺がシンプルですね。そしてムルガン神像まだありません。
鍾乳洞内も寺院はあるはずですが、すごく小さい? まだKTMも無くてバスで来ました。1リンギット=¥45でしたが、物価も安くバトゥ・ケーヴスまでバス片道60センでした。
![古写真2](https://www.logrecodocu.website/wp-content/uploads/2023/02/32be601daba34076cd9acca478f82433.png)
現在のスリ・スブラマニアム・スワミ寺院は
まだ建てられてないようだ
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