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2024 タイプーサムに行ってみた … 苦行がソフト化していました

神殿に通じる階段前に並ぶカバディ

インド系住民が多いクアラルンプールでは数々のヒンドゥー教関連祭典が行われます。一番有名な祭りタイプーサム(Thaipusam)が今年は1/25(木)に行われました。
 Thai はヒンドゥー教暦10月、pusam はタミル語で「星」を意味するそうです。この祭りはKL北方の聖地バトゥ・ケーヴで行われますが、参拝者がわが身を痛めつける苦行をすることで奇祭とも呼ばれます。でも今年は苦行がソフトになった感じがしました。

あちらこちらでタイプーサムの雰囲気

バナー1
政治家のポスターかな
バナー2
ヒンドゥー教寺院の前

 マレーシアには200万人を超えるインド系住民がいます。多くはイギリス植民地時代にインド南部のタミルナードゥ州から移住させられたタミル人の子孫。
 タミル人に特に信仰される神がムルガン神(スカンダ神)で、その祭典たるタイプーサムには100万人とも言われる人々が参加するとか。インドからも来るようです。

インド人観光客
インド人観光客が増えてきた
シヴァ・ファミリー1
シヴァ・ファミリーの右端がムルガン神
左手に小さい槍、下に孔雀がいます

 この祭りはアスラ(悪神)の討伐で、母神パールバティより槍を授けられて活躍したムルガン神をたたえるものです。
ムルガン神はシヴァ神ファミリーの次男で柔和な姿で描かれますが最強の軍神。スペード型の槍と孔雀を侍らせるのがお約束
 マレーシアでは人気があり、各地にその寺院が建立されています。

ムルガン神寺院
ムルガン寺院、門上に神像あり

※ シヴァ・ファミリー画ですが左端ガネーシャ神(ねずみ)、中央左シヴァ神(白牛)、ムルガン神(孔雀)。( )は各神の乗り物の動物で、足元に描かれています。中央右パールバティ神は乗り物無いのかな?

KTMでバトゥ・ケーヴへ行きます

 KL市内からバトゥ・ケーヴに行くにはKTM(マレー鉄道)が便利。普段は1時間に1本ぐらいしか運航していないのですが、タイプーサム前後は24時間運航で頻発します。
 KLセントラル駅から40分ほどで3リンギット(¥90程度)、ただしこの期間は満車状態が多く、なかなか座れません。

KTM
KTMの列車
大群
駅を出る参拝者の大群
参道
参道は人波で埋まる
孔雀の羽根
ムルガン神のシンボル孔雀の羽根販売中
ムルガン神絵
ムルガン神絵入りの巡礼服
南門
車で来た人は南門から入場
お猿
神殿の屋根にお猿です

参道階段はカバディ(神輿)の行列

広場
洞窟神殿前広場は大混雑

※ 短いですが動画でタイプーサムの雰囲気を感じてください


坂道1
洞窟神殿に続く坂道

 洞窟寺院に続く参道・階段を埋め尽くすのがカバディ(Kavadi)の行列でカバディ・アータム(重荷のダンス)と呼ばれます。カバディはムルガン神に救いを求め参拝する時の供物とされ、ヒンドゥー教の神話に起源を持つ習慣。カバディは「神輿」(みこし)と意訳されています。

坂道2
カバディと参拝者で埋まる階段
カバディ1
カバディの列、一基をひとりで担ぐ大仕事
カバディ2
ドラム楽団と共に進むカバディ
カバディ3
縁を飾るのは孔雀の羽根
カバディ4
表には立体ムルガン神像
カバディ5
裏面はムルガン神の絵

 様々な姿のムルガン神が描かれます。少年の姿が一番多いようですが、ベイビー姿、青年姿もありました。時々ガネーシャ神、パールバティ神など関連する神の絵もあり。
※ 次の画像はクリックすると拡大します

ベイビー像
ベイビー像
少年
少年像
青年像
青年像
アニメチック
アニメチック

黄色の衣装は巡礼者

カバディ6
カバディと共に進む参拝者

 カバディと共に参拝者も進みます。熱心な信者は黄色い巡礼服に身を包み、お供えのミルク壺を抱えています

巡礼1
気合の入った巡礼スタイル
巡礼2
ミニ・カバディもありました

 わが身を痛めつける苦行をしながら進む参拝者もいます。頬に鉄串を刺したり、背中に重し付きのかぎ針を刺すのです。このためタイプーサムは奇祭と呼ばれ、本国インドでは禁止されたとか。

巡礼3
頬に鉄串貫通の参拝者
巡礼4
ライムを重りにかぎ針を刺す

 バトゥ・ケーヴは石灰岩の山で鍾乳洞があちらこちらにあります。ムルガン神の寺院は階段を登った山腹の鍾乳洞の中。
 普段は観光客も気軽に行けますが、タイプーサムの当日はカバディと参拝者の大群。とても異教徒が興味本位に行ける雰囲気ではありませんでした。洞窟寺院に入るなら、さほど混んでいない前日に行っては。
※ 次の画像は2023年のタイプーサム前日の様子です、詳しくは下記の記事
  2023ヒンドゥー教の奇祭タイプーサムに行ってみた①参拝行列編 に移動します

昨年は1
階段上からKL市内が見える
昨年は2
洞窟内部の寺院

カバディ出発拠点に行きました

 南門を出て右手の高架道路を進むとインド人の町があります。このあたりがカバディや巡礼団の出発拠点となっており、よりデープなタイプーサムの雰囲気が感じられる場所。

巨大カバディ
巨大カバディもやってくる
巡礼団1
巡礼団もやってくる
介添え
カバディには介添えが同行
巡礼団2
巡礼団のドラム隊
巡礼団3
導師が巡礼団を先導
巡礼団4
出発準備をする導師たち
巡礼団5
子供も巡礼スタイルで参加
剃髪1
髪を剃るのが巡礼正規スタイル?
女性でもやる人がいます
剃髪2
剃ったあとターメリック?を塗る

苦行がソフト化していた(一応閲覧注意)

苦行1
苦行をする参拝者

 タイプーサムは「世界の奇祭」とも呼ばれます。参拝者の一部がわが身を苦しめる「苦行」をしながら参加するため。インドではあまりにも過激になりすぎて、祭り自体が禁止されたとか
 頬に鉄串、体に重り付きのかぎ針など刺す。カバディから伸ばした針金を体に刺すなどの行為を行います。

 昨年は苦行者のあり様を見て「すげ~」と思っていましたが、2024年は苦行の内容がだいぶソフト化されているように思えました。
※ 昨年(2023年)のタイプーサムの様子はこちらをご覧ください
  2023ヒンドゥー教の奇祭タイプーサムに行ってみた②苦行・参拝編

苦行2
昨年、カバディからの針金が刺さる
苦行3
今年、針金はありません
苦行4
昨年、針金がもろに突き刺さっています
苦行5
今年、申し訳程度にかぎ針が刺さります

 全部のカバディを確認した訳ではありませんが、昨年のような針金が刺さるカバディは無いようでした。

苦行6
昨年、頬に鉄串貫通させています
苦行7
今年、あれっ?鉄串くわえているだけ?
苦行8
昨年、背中にかぎ針オレンジの重り
苦行9
リンゴの重りの強豪もいました
苦行10
今年、お花が重りです

 苦行をしない訳ではないが、全体にソフト化している感じ。ライム重りのかぎ針、鉄串の貫通苦行をやっている人もいましたが、少数派。
 何か全体で過激な苦行自粛の動きがあったのかな? まあ、これでタイプーサムの価値が下落する訳でもないし、猟奇的な面だけ強調するのも良くないのでOKなのでは。

 カバディからの針金が無くなった代わりに増加した物があります。昨年は無かった参道階段前でのカバディ回転パフォーマンスです。ドラムの音に合わせてカバディを回転させる踊り。まあ、これは体に針金刺した状態でできる技ではありませんからね。

回転させる
重いカバディを回転させる

短いですが動画をお楽しみください(環境によっては読み込みに時間がかかります)

ハヌマーン
入口のハヌマーン像

 お昼を過ぎましたが、参拝者はますます増えていくようです。また来年も来たいなと思いつつ家路につくトラタロウでありました。

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この記事を書いた人

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姉妹ブログとして旅行と海外食生活をテーマにした『トラベルダイアリートラタロウ』https://tabivoyagetrip.blog/ もありますので、よろしければご覧ください。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして。にほんブログ村からきました。
    サムネイルから、バトルケーブに似てるなぁ(昔KLに住んでいたのです)と覗いてみたら、
    やっぱりバトルケーブで、懐かしいなぁと見入ってしまいました。
    こんなに賑やかなイベントがあったとは。
    ワタシが時々行っていたのは普通の平日夕方、
    ライトアップされた神秘的な空間が魅力的でのんびり過ごしていました。
    また時々のぞかせていただきます。
    よろしくお願いします。

    •  香港ぐらっしー ミシェリー様
       コメントありがとうございました。クアラルンプールに移住して1年ですが、マレー人、華人、インド人と多民族社会で文化・宗教・食生活などが異なるので、変化があって楽しいです。いろいろなポイントを紹介したいと思いますので、またご覧ください。住んでおられたということなので、懐かしい物も出てくるかもしれませんね。
      トラタロウ

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