ヒンドゥー教はインド人の8割が信じる宗教です。マレーシアはイスラム教国ではありますが、人口の7%はインド系であるためヒンドゥー教徒も多く、クアラルンプール市内にはヒンドゥー教寺院も沢山あります。
寺院では日々神々への祈り(プージャ)を行いますが、近くでで見せてもらう機会があったのでレポートします。
ヒンドゥー教寺院を発見する
週末になると自転車であちらこちらに出かけます。クアラルンプールも土日は交通量が減って危険が減少しますので。
KLはモスクも多いのですが、ヒンドゥー教寺院も多いのに気づきます。マレーシアのインド系は南インドのタミル人が多いので寺院も南方系が多いですね。
今週はKLの北にあるセントゥル市場に行ってみました。するとヒンドゥー教のお祭りを告げる大きなバナーが掲げられていました。



お祭りは明日ですが場所を確認しておこうと市場の裏手に行ってみます。看板に従ってすすむとそこには小さなヒンドゥー教寺院がありました。グーグルマップにも載っていない地元密着型寺院です。


寺院に近づくとラッパや太鼓の音が聞こえます。どうやらプージャの最中みたい。
プージャ( Puja ) はヒンドゥー教のお祈りです。日常生活、寺院へのお参り、冠婚葬祭、年中行事など様々な機会に行われます。やり方は地域や神様・寺院によっても違いがあるとか。


早朝のウォーキングでヒンドゥー教寺院前を通ると朝のプージャをする様子が見られたします。新規開店のインド料理店では神官が出張して繁盛祈願?プージャをやっていました。


寺院に招き入れられました
ヒンドゥー教寺院に入ってもとがめられる事はありませんが服装規定があります。この時は短パンだったので入れないなと思っていましたが、寺院の人に「おいでおいで」招かれます。「短パンでいいの?」と聞くと靴さえ脱げばOKとのこと。
ちょうどプージャが始まるところで見学させてもらいました。

ちなみにヒンドゥー教は多神教で、寺院によりご本尊が祀られています。本堂のご本尊の像をみると三又槍を持ちヒゲをたくわえた神様。これはムニスワラ神( Muniswara )のようです。
南インドで特に信仰される神で「シヴァ神の聖者としての化身」とされています。寺院の名前も SRI MEENAKSHI SUNDARE SWARA ALAYAM 寺院といいます。

白い線(トリプンダ)がシヴァ神のもの。
三又槍もシヴァ神の武器です。


本堂の後ろ左右にはガネーシャ神とムルガン神の祠がありました。両神はシヴァ神の息子でインドでも人気がある神様。両神は仏教にも取り込まれそれぞれ歓喜天(かんぎてん)、韋駄天(いだてん)と呼ばれています。
ムルガン神は南インドのタミル人の間で信仰が盛ん。タミル人が多いマレーシアでも一番人気です。

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ガネーシャ神は象の顔なので一目瞭然。ムルガン神は少年の姿で描かれることが多く、スペード型の槍を持ち、孔雀を従えています。
クアラルンプールの観光地バトゥ・ケーヴはムルガン神を祀る洞窟寺院です。入口右手にそびえるのがムルガン神の像。毎年2月ごろにタイプーサムという大祭が行われます。
2026 ヒンドゥー教の大祭タイプーサムを感じてみた に移動します。


ムニスワラ神の寺院はKLセントラル駅に近いブリックフィールズ地区にもあります。
ヒンドゥー教新寺院オープンに行ってみた に移動します。


プージャが始まりました
今回のプージャはどこぞの家族の依頼によるものみたい。神社でお祓いをしてもらう感覚なのかな。
依頼者家族の男性はコシ布(ルンギ)を巻き上半身裸、女性もサリー(インドの民族衣装)着用です。
ちなみにインドのヒンドゥー教徒女性はほぼ100%民族衣装着用ですが、マレーシアでは女性も普段は洋装の人が多数派。お祭りや儀式の時以外は民族衣装を着る人はごく少数派です。

神官が神々に捧げる祈りの言葉(マントラ)を唱えますがマイクを使うのが今様ですね。背後では長い木製ラッパと太鼓の演奏が始まります。


神官に先導された参拝者は神々の祠にお参り。ギー(バター油)でともされた火と供物を捧げます。


最後にシヴァ神像にお参りをして終了。全部で20分ほどのプージャでした。


実は神道とヒンドゥー教は似ています
神道は神社で神々を祀る日本古来の宗教ですが、ヒンドゥー教と似たポイントが多いのです。
① 民族宗教である
特定の民族・国だけが信じる宗教であり、あまり他民族・他国に布教したりしません。世界中に広めようとするの世界宗教(キリスト教、イスラム教、仏教など)です。
② アムニズム(自然崇拝)から発生
両教とも太陽、月、山川、気象、動物など自然界のあらゆるものに神が宿ると考えます。神道ではトイレにまで神様がいますよね。

③ 多神教
イスラム教やキリスト教は唯一の神を信仰する一神教ですが神道・ヒンドゥー教はあまたの神様がいます。アミニズムの影響もありますが、両教とも国内で拡大する過程で各地の土着神を取り込んだためでもあります。
ヒンドゥー教では神様の化身(神が他の姿で現れる)もいるので神様が多すぎる。神道でも八百万神々(やおよろずのかみがみ)という表現があります。
④ 穢れを払うことを重視
ヒンドゥー教はすべての物に浄・不浄があると信じており、穢れを嫌います。ヒンドゥー教徒にヴェジタリアンが多いのは肉食は穢れやすいため。お祭りでは信者に水が掛けられますが、これは聖なる水で穢れを払うため。
神道も浄・不浄を重視し水や塩で穢れが払われると考えます。神社で参拝まえに口をゆすぎ、手を洗うのは穢れを払うため。相撲で塩をまいたり、お葬式後に塩をもらうのも浄・不浄の考え方があるからです。
⑤ 日常生活に密着している
どの宗教にもある要素ですが神道・ヒンドゥー教は特に強い感じ。冠婚葬祭、年中行事、生活様式に影響を与えています。
かつて外国人キリスト教徒に、日本では新車を買うと神社でお祓いをする人がいると話すと驚かれました。ヒンドゥー教徒も同じことを行い、その儀式ヴァーハン・プージャ(Vahan Puja)は新車を悪霊や嫉妬から守るとか。
翌日はお祭りを見に行きました
翌日はお祭り見学に行きます。寺院に着くと外には履物が沢山おかれる。信者はすでに集まっているみたい。
寺院の前には牛がつながれていました。牛はシヴァ神の乗り物で聖牛とされインドでは食用にはされません。でも乳製品はOKなので牛はいっぱいいます。


寺院内には供物が用意されていました。清浄な物とされるココナッツ、神々への捧げものミルクの壺、豊穣を表すバナナ、キンマの葉・ビンロウジュの実などが見受けられます。
※ キンマの葉でビンロウジュの実、石灰、タバコの葉などを包んだ物がパーン。噛むと軽い覚醒・高揚作用がある大人の嗜好品。台湾・東南アジア~インド圏に普及していますが、マレーシアではあまり見ません。


神官が集まりマントラを唱えて儀式が始まります。神々に捧げる火(アティラ)が灯されますがギー(バターを精製した油、神聖にして清浄とされる)を使います。


木製ラッパと太鼓は今日も大活躍。


儀式のクライマックスは屋根からの聖水散布。インドのガンジス川(川自体がガンガーという女神様です)から汲まれた水が入っているとか。


短いながらも熱気あふれる儀式で、この空間・時間だけ100%インドでした。またインドに行きたいな。

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