マレーシア人口の23%は華人(中国系)であり都市部に多く、クアラルンプールでは人口の4割以上を占めます。華人の多くは仏教徒ですが道教寺院にも行きます。昨年はKLの東アンパン地区にある道教寺院・九皇爺南天宮の祭りに行きました。今年は同じ系統の九皇爺北天宮があるジンジャン地区に行ってみました。
道教はどんな宗教でしょうか?
 仏教徒の多い華人ですが、同時に道教寺院(道観・宮観)にお参りに行くことも珍しくありません。日本人の多くが仏教徒なのに神社に行くのとにていますね。
 道教は自然崇拝、老荘思想、陰陽五行説などをベースに様々な要素が混じった中国独特の民間信仰。現在は中国本土よりも台湾や東南アジア諸国の華人社会で盛んであり、KL市内でも華人の居住区には必ずあります。


 道教の有名なポイント
・現世利益…信仰・祈祷などで、この世での幸福を追求します。
・多神教…神様がたくさんいます。
・神格化…太上老君(老子)、関聖帝君(関羽)、媽祖(黙林)など人間が神になったりします。
・神仙思想…修行でスーパーマン?になれます。
・不老不死…仙人になったり仙薬の服用で可能。
・先祖崇拝…ご先祖様が子孫を守ります。
道教のお坊さんを道士と呼びます。30年以上前にヒットした『霊幻道士』という香港映画で、妖怪キョンシーと戦っていたのが道士です。


 昨年は9柱の神様を祀る道教寺院・九皇爺南天宮(アンパン地区)のお祭りに行きました。
 2024 KL最大級の中華屋台が出る九皇爺南天宮の祭りに行ってみた に移動します。
 今年は同じ神様を祀る九皇爺北天宮がジンジャン地区にあるので行ってみました。
九皇爺北天宮への行き方は
この道教寺院は Nine Emperors Temple と英訳されています。道教の女神斗母の息子である9柱の神を祀っているからですね。旧暦(農暦)の9月にこれら9柱の神々が訪れるのを迎える祭りとか。祭りの日は旧暦(農暦)に基づくため毎年変わりますが、ネットで調べてもヒットしません。直接行ってみたら祭りの日とパレードの順路が貼ってありました。

ジンジャンに行くのはMRTプトラジャヤ線が開通したので簡単。同線のジンジャン駅で下車し、徒歩15分で九皇爺北天宮です。祭りのパレードは寺院に行く途中にあるジンジャンの町(ほとんどチャイナタウン)から始まります。


ジンジャン駅で降りると何やら銅鑼・太鼓の音。道路に祭りの看板・旗・提灯が飾られ、祭りの開催を告げる楽隊が宣伝カーに乗って走っていました。


 メイン道路から少し入った所にあるジンジャンの町は、マレー系の店・屋台も少しありますが、住民の多くが華人。周囲には古い住宅ビルが多く、昔から続くチャイナタウンみたい。
 漢字で「増江」と書きます。ちなみにアンパンの漢字表記は「安邦」。


寺院に近い町の一角はパレードの準備でにぎわいます。マレーシア華人社会の祝い事に欠かせないライオン・ダンスのチームも複数来ていました。


トラックに積まれた斉天大聖の像。そしてコスプレの人もいる。『西遊記』で有名な孫悟空は斉天大聖という道教の神様でもあります。


パレードが始まります
パレードは7時開始の予定ですが、マレーシアで時間ピッタリに始まることは稀です。7:15ごろパレードが始まりました。


神様と関係ないかもしれないが、祭りを盛り上げるにはライオン・ダンス。銅鑼・太鼓・笛の音と共に踊りまくります。


ライオンに負けじと踊りまくるのがドラゴン・ダンス。後ろに続く鳥や魚像は何だ?


ひときわ大きな山車が来ます。荷台には賢人的な像。神様を迎える代表かな?


沿道の見物人にお菓子や縁起物の紐?が配られます。


トリのように巨大龍像がきました。口から水を吹いています。


ちなみにこの水を吐くドラゴン像は南天宮のお祭りにも登場しています。どちらの所有かは知りませんが、融通している様子。
寺院前に屋台街
どの国でもお祭り・縁日の楽しみは食物屋台。KL最大級の中華屋台が出る南天宮にはおよびませんが、北天宮にも多くの屋台が出ていました。








参拝人であふれる本堂です
参拝人は神様に祈るのか、ご先祖様に感謝するのか。両方なのかな。



道教独特の習慣が紙銭(冥銭)です。紙幣や金銀を模した紙で、ご先祖様があの世で使うためのお金。燃やすことで冥界に届きますが、送金するみたいですね。


本殿、脇殿前でお参り。長い線香束を額にかかげてお参りします。


 紙製品ながら絢爛豪華に作られた宮殿のような模型がありました。神様を迎える宮殿かな?
 日本で言えばお盆に相当する道教行事・中元節では、ご先祖様のために豪華紙製邸宅模型が奉納されていました。その様子はこちら。
 2023中元節を見にローカル華人街に行ってみた に移動します。



 神様は水辺からお越しになるとかで、お迎え用の船模型がありました。
 もっと道教関係の知識があれば、祭りがさらに楽しめそうですが、ネットでも資料が少なくて難しいですね。

			
			
			
			
			
			
			
			
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