8月初めから9月末にかけてマレーシア(特にクアラルンプール)に来ると異常なほど国旗が飾られている風景に ???となるかもしれません。8/31 の独立記念日と 9/16 のマレーシア・ディという2つの独立・建国関係行事があるためです。69回目を迎えるクアラルンプールのムルデカ(独立)シーズンの様子をレポートしてみました。
街中はとにかく国旗だらけです
1957年に独立宣言が行われたのがKL中心部にあるムルデカ(独立)広場。この時期になると周辺の高いビルには巨大な国旗が下げられます。


インターネットのありがたさ、ググるとShopeeという通販サイトで巨大国旗が販売されていました。サイズによりますが189リンギッ(¥7182)から 529リンギッ(¥20102)と意外に安い。一番大きいのが6m×12mでこれが一番高いのかな。ちなみに家庭サイズ(なんだそりゃ)はいたる所で¥100くらいから買えます。まあ年に1回だけど確実に一定量が売れるので、マレーシアでは国旗販売がビジネスとして確立されていますね。




マレーシア国旗はジャルル・ゲミラン ( Jalur Gemilang )と呼ばれ「栄光のストライプ」という意味。紅白14本のストライプは13州 + 連邦直轄領(クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアン島)を表し、左上の半月と月はイスラム教のシンボル、黄色は王室を表すとか。
疑問はなぜアメリカ国旗スター&ストライプと似たデザインなのか? 馬・米両国はあまり関連が無さそうなのだが、調べてみたらなるほどという理由がありました。両国とも時期は違えどイギリスの植民地であり、様々な所でイギリス文化の影響を受けています。そしてストライプ + 左上に四角いスペースを設ける旗デザインは、イギリスでけっこう使われていたようです。例として「イギリス東インド会社の旗」を検索してみると納得の画像が出てきます。
建国の順番からするとマレーシアがアメリカをまねたみたいですが、両国ともイギリスの旗デザインを採用しただけのようです。
ちなみに世界にはもひとつ同じデザインの国旗があります。西アフリカにあるリベリア共和国はアメリカで解放された黒人奴隷がアフリカに戻り建国しました。国旗はアメリカのまねですね。

街中には企業や政治家による「ムルデカ・シーズンおめでとう」的なバナーも貼られます。


前出の画像は政治家ジョハリ・ガニ氏(Johari Abdul Ghani)のおめでとうバナー。ティティワンサ地区選出の国会議員で、アンワル政権の国際貿易産業大臣を務める大物政治家。
選挙区はKL中心部のマレー系住民が多い地区であり、独立関係・イスラム教関係の行事で頻繁におめでとうバナーを出していますので良く見かけます。
断食明けのお祭りハリラヤ・プアサではカンポン・バルでオープンハウスを開催していました。
2025 政治家のオープンハウスに行ってみた に移動します。
おめでとうバナーのモチーフは国旗の他に諸民族の融和。三大民族(マレー系。華人系、インド系)の他に先住民・少数民族も多いのでまとめるのが大変です。


HARI MALAYSIA があります
HARI KEBANGSAAN (国の日)は8/31の独立記念日で説明は不要でしょう。9/16のHARI MALAYSIA(マレーシアの日)は知らなければ???ですね。
1957年にイギリスから独立した時はマレー半島部のみのマラヤ連邦でした。1963年にボルネオ島北部のサバ州・サラワク州とシンガポール(後に脱退・独立)が加わり現在のマレーシアが出来上がります。これがマレーシア・ディで独立記念日と同様に祝われるのです。
※ 同じボルネオ島北部にあるブルネイは加入の条件が折り合わず、別に独立しました。
ちなみにサバ州とサラワク州は特別な権限が認められています。マラヤ連邦との「対等な建国のパートナー」であり「独自の自治権を持つ特別な地域」という扱いみたい。
旧イギリス植民地だったことは同じですが、①半島がマレー系中心に対し先住民中心、②半島がイスラム教多数派に対しキリスト教が多い、③石油・天然ガス資源もボルネオ側が多いのかな? と相違点も多い。
そのため独自のMM2Hビザを発行できたり、独自の入境管理権限(マレー系が増えるとイヤみたい)があったりと「国の中の国」とまでは言えないかもしれないが半島部11州とは扱いが違うようです。まあ不満を持たれて分離・独立でもされたら困りますからね。
ムルデカ・セールも始まります
あちらこちらの商店・飲食店でムルデカ・セールやムルデカ商品の看板が出ます。マレーシアのセールシーズンは華人系の春節、マレー系のハリラヤ・プアサ、インド系のディパバリなど各民族の年中行事や宗教行事に関連するものが多いのですが、ムルデカ・シーズンもそのひとつです。


特にマレー系がよく行く店舗は国旗やKLの特徴的な建物の絵で購買意欲を盛り上げようとしている様子。KLのシンボリックな建物で盛り上がるのか? まあマレーシアはKL一極集中で全人口の四分の一はKL首都圏に住んでいます。「KLっ子」であるというのはマレーシア人には自慢なのかもしれません。
※ KLの範囲は南北20Km、東西10Kmぐらいで小さく人口も200万人ほど。首都圏人口は900万人ほどもいますが700万人はKLを囲むスランゴール州在住。でも意識としてはKL在住なのかな?


飲食店もムルデカ特別メニューを提供です


飲食店のムルデカメニューには Warisan Merdeka という表記がよく使われていました。Warisan は「伝統・遺産・継承物」といった意味なので「独立の伝統」食べ物なのか?


左下がムルデカ広場前にあるスルタン・アブドゥル・サマド・ビルでイギリス統治時代の建築です。その背後に左からジャンクション108、ペトロナス・ツインタワー、ムルデカ118、KLタワーというKL4大高層建築が並んでいます。左側にはプトラモスク(ピンクモスク)その上は伝統凧というマレーシアてんこ盛りデザイン。
ムルデカ・シーズン限定商品です
やはり国旗関係グッズが多いのです。


この時期は公用車、バス、パトカーなどが国旗をつけて走ってます。個人の車やバイクにもついていたりします。




これらの国旗関連グッズを買うのはほぼマレー系みたい。トラタロウは目立つことで事故防止(ドライバーに存在を気づいてもらう)になると自転車に国旗をつけていますが、マレー系には大変うけます。
でも華人系やインド系は国旗への関心が薄いみたい。ある時自転車で走っていたらインド人に「華人なのに国旗つけているの?」と大変けげんな表情で聞かれました。「オラン・ジュプン(日本人)です」と答えると納得された。


国旗やMERUDEKAの文字をあしらったTシャツも人気。トラタロウは「愛国Tシャツ」と呼んでいますが、華人系・インド系が着ているのを見たことがありません。着てみたくもありますが悪目立ちしそうです。



男性が右手を上げたポーズが様々なムルデカ・グッズ、ポスターにあしらわれています。これは初代首相となったトゥンク・アブドゥル・ラーマンが独立を宣言した時のポーズ。マレーシア人なら知らぬ者なき歴史的ポーズです。



ムルデカ・スナックの袋を発見、どんな味がするんだ? でもこれは2mぐらいある袋で冗談です。


マレーシアの三大民族(マレー系、華人系、インド系)は対立しているとまでは言えませんが、お互いに思う所がある微妙な関係。独立行事関係は一緒に盛り上がるかと思っていたら華人系、インド系はちょっと距離をおいている感じで、マレー系だけが盛り上がっている雰囲気です。


とは書かれていますが、
3民族融和は難しい
主要民族が3つもあって宗教・文化もかなり異なるのに深刻な民族対立にまで至ってないのは立派です。ちなみにマレーシアの主要宗教はイスラム教、仏教・道教、ヒンドゥー教、キリスト教ですが、それらのメイン行事は祝日になっています。各派にいろいろ配慮しているのですね。

コメント